「出来ない状態」を把握する

ある生徒さんのために、「練習メニュー」を作りました。 課題にしている曲の練習時間が、毎日約1時間ということなので、1時間の練習メニュー。 練習を頑張っているのに、それが結果として出てこないというのは、おそらく練習の仕方に問題があるんだろうなぁと思ったので、2週間先のレッスンまで、とにかく私のメニューだけをしていただくことにしました。 生徒さんにとって、練習課題を見つけること自体が、結構難しいことなんですよね。 「この曲の、この小節が上手く弾けない」ということは分かっても、では「この小節」の何がネックになっているのか。 闇雲に、とにかく繰り返し練習!と何時間も練習する前に、もっと観察して問題点を明確にすれば、練習の仕方も変わってくると思います。 「この小節」が例えば速いパッセージだったとします。 では、この速いパッセージ中のどこで引っかかるのか? まさか、いくつかある音すべてが弾けないわけではないと思うので、具体的に、どの音がどのようになってしまうのかハッキリさせましょう。 ・音を間違えるのか(間違える音は何?) ・リズムが崩れるのか(どんな風に?) ・音がくっついてしまうのか etc 次に、その時の指と腕の位置がどうなっているか観察してください。 手の甲が高くなっている、手首が曲がっているなどの場合は、指や腕の角度がネックになっている可能性があります。 また、課題部分を弾いている時の【指・腕・身体】の状態は、それぞれ下記のどれに当てはまりますか? ・力んでいる ・弛緩状態 ・安定 ・不安定 例えば、速いパッセージで起こりやすい指の力みは、下記のように連動していることがよくあります。 指(りきみ)ー腕(不安定)ー身体(不安定) この悪循環の中から脱出するには、指からのアプローチが一番難しく、この状態で指のりきみを取るのは至難の業です。 なので、指以外から取り組んでみること。 まずは腕。 指を速く動かさなきゃ!と思って、無意識に腕まで一緒に動かしている場合があるのですが、指を速く動かすには、腕は安定させましょう。 空中で出来るだけ速く指を動かしてみると、自然に腕は固まろう(=安定)とします。 この固まっている感じは、力んでいる状態とは違います。 この固定感を、鍵盤の上に指を置いても再現できるように練習する。 腕の固定で解決出来ない場合は、身体の不安定さを疑ってみましょう。身体と楽器については、さんざん書いてきているので、過去の「練習覚書き」記事を参照してください。 でも、まずは息を吐くこと! みぞおちと楽器をべたっと当てることを意識してみるといいと思います。 「出来ないときの状態」を、まずは具体的に把握すること。 練習は、ここからですね。